OW備忘録

Overwatchの戦略など、思い付いたことを書き残しています。

ultの計画性~Alwaysoov氏のインタビュー記事を受けて~

どうも、五十鈴エルフです。

今回は各所で話題となっているLunatic HaiのコーチであるAlwaysoov氏のインタビューを読んで考えたことをまとめてみようと思います。日本語翻訳記事をD3watchさんが書かれているので、ぜひ読んでみてください。

あくまでここで書くことは自分の個人的な解釈である、ということはあらかじめ断らせてください。

 

<ultの計画性~Alwaysoov氏のインタビュー記事を受けて~>

つい先日、「ゲンジのUltはキルが目的ではない」という衝撃的なワードが駆け巡りました。皆さんも既にご存知かと思います、Lunatic HaiコーチのAlwaysoov氏の発言内容です。竜撃剣を相手のultを誘うために使ったというような趣旨です。Lunatic Haiといえば各人のプレイヤースキルもさることながら、ultの使い方が非常に上手いチームとして有名です。そんなLunatic Haiがどのような考え方を以てultを使っているのかを自分なりに考察してみました。

まず、Alwaysoov氏がRogueの問題点だとして指摘したultの使い方について振り返るところから始めましょう。

Rogueのメインの編成はウィンストン・トレーサー・ゲンジ・ソルジャー・ルシオゼニヤッタという3DPSのダイブ編成です。DPSの高回転ultをどんどん回してアドバンテージを取っていくスタイルです。Alwaysoov氏は「ultをアビリティのように使う」というように表現していますが、まさにその通りで、その色が濃いのがKnOxXxのプライマルレイジとNiCOの竜撃剣だと思います。特にNiCOの竜撃剣は味方が2枚落ちていようが遠慮なく抜いていくというような超アグレッシブな使い方をします。時に大逆転を演出しますが、一方で発動するもあっさりカウンターされるというようなシーンも少なくありません。ただ、これがいけないことだと言うつもりはありませんのでそこの勘違いをされないようにだけ先にお願いします。というのも、Rogueの目指しているところはおそらく完全なスノーボール戦術ではないかと思うからです。スノーボール戦術とは序盤で得たアドバンテージを維持したまま終盤までアドバンテージを取り続けるというような戦術で、LoLなどで主に使われの用語で、オーバーウォッチにおいてはultゲージがここでいう「アドバンテージ」にあたります。スノーボール状態に乗っている状態ではultが循環し、Aのultで勝ち、次のエンゲージはBのultで勝ち、その次はCのultで勝ち・・・というように進みます。が、通常この流れはすぐに途切れます。

上記の記事で詳しく取り上げていますが、性質上どうしてもultが枯渇してしまうタイミングが出てきます。スノーボールの限界です。Rogueではその対策にどうするかというと、一切足並みをそろえさせないという戦法を取ります。チームキルした後はそのまま一気に戦線を押し上げゴール直前、場合によってはリスポーン前まで攻め上げてひたすら足並みを崩しにかかります。戦いづらいロケーションに押し込むことでultの効果も半減、仮に使われたとしても対応しやすくultによるカウンターパンチを見事にいなしてきました。この足並みを崩すときに使われるのが高回転で使いやすいDPSのultなんですよね。このように一度手にした流れをその後一切手放したくないというような意図を感じる戦い方をするのがRogueですが、そのスタイルをLunatic Haiは利用したといいます。

それでは、Lunatic Haiのスタイル(だと解釈したもの)についてみていきましょう。

Lunatic Haiの戦術のコンセプトは勝ちっ放しなどありえないというところにあるのではないかと思います。スノーボール戦術はひたすら有利を押し付けて戦えるという点では非常に強いですが、同時に諸刃の剣であることもあります。というのが、スノーボールが破綻した後のしっぺ返しが存在するからです。スノーボール戦術のもとでは一方的に試合が運び相手を完全に封殺しているかのように思いがちですが、その間もじっくりながらultゲージは回収されています。少しずつ相手のスノーボールも大きくなっているんです。スノーボール戦術の出典のゲームでは序盤のアドバンテージは何かしらの手で取り返さなければなりません。ただし、オーバーウォッチでは放っておいてもアドバンテージの力関係はいつか絶対に逆転します。押している側は常に使い続けて、押されている側が温存していればultの枚数差は逆転しますよね。こうなったときに恐ろしい大逆転が起こります。相手がスノーボール状態に乗ってそのまま押し切られるというパターンです。Lunatic Haiのult戦術ではこの逆転現象を意図的に起こしている(起きたように錯覚させる)のではないかと思います。【勝つ→勝つ→勝つ→勝つ→負け→負け→・・・】で最終的に負けるくらいなら【勝つ→勝つ→勝つ→負け→勝つ】の形でコントロールできるうちに意図的にいい形で負けてしまった方が最終局面において有利な状況を作れるんじゃないか?ということです。「竜撃剣はキルが目的ではない」の件についても、竜撃剣に対して心頭滅却+タクティカルバイザーで対応してくるだろうなどといった予測のもとで、「今回のエンゲージでultを空っぽ(に近い状況)にさせて負ける。次のエンゲージで決着だ」という作戦です。ここでもしultの総力戦をしてしまうと負けてしまった場合に双方空っぽ(もしくはult不利)で強ポジは相手側、という取り返しがつかない状況になってしまう可能性があります。負けることも勘定に入れて試合全体を通してult管理をするというのがLunatic Haiの考え方なのではないか、と思いました。

 

過去に今回の記事に近いものを書いていたので、併せて載せておきます。アサルトBに限定しての作戦としていますが、おそらくこれに近いことをあらゆる状況で適用してるんじゃないかなと思っています。